こんな一瞬でわかるほど、俺はどうしようもない状態だったのかと今さら気づく。

 サラに捨てられた今の状態よりも、何倍もマシなはずなのに……どうしてあんなに、何も見えなくなっていたんだろう。

 サラしか見てないと思っていたのに、俺はきっと、サラのことさえ見えていなかったんだ。



「なぁ」

「ん?」

「戻れると思うか?」



 俺の質問に、冬夜は「は?」とでも言いたげな顔をした。



「どこに?」

「……サラがいた時のfatalに」



 今は、あのころには程遠い。

 サラがいたころは……サラを軸に、みんな信念を持っていた。