「大丈夫か?」

「……え?」

「非通知で連絡が入ったんだ。春季がここにいるって」



 非通知……?

 ゆっくりと起き上がる。俺はベンチで横になっていたらしく、あたりを見渡した。

 いない……よな。



「こんなところで何してた?」

「……別に」



 サラが、冬夜に連絡をしてくれたのか……。

 って、どうしてサラが冬夜の連絡先を知っているんだ?

 わからないけど……サラならきっと、fatalの奴と連絡を取ることくらい、いつでもできたんだろうな。

 俺の愚行がバレたみたいに……サラに隠し事をするなんて端からできっこなかったんだ。

 サラを俺以外から遠ざけて、邪魔な奴は排除して……そんなの全部無意味だった。

 結局、俺には何も残らなかったんだから。