【side春季】



「前の、私が大好きな春ちゃんに戻ったら……また、お友達になろうね」

「由姫……!」



 トンッと、首の側面を手刀で打たれた。

 意識が遠のくのを感じて、しまったと後悔する。

 待ってサラ……由姫。まだ話が……。



「……バイバイ、春ちゃん」



 最後に聞こえたのは、悲しげな声だった。







 待って……行かないで……。

 俺を……。



「……ゆ、き……!」



 そう叫んだのが先か、目が覚めたのが先かわからない。

 はっきりと意識が戻ったと気づいたころには、もうそこにサラの姿はなかった。

 代わりに……心配そうに俺を見つめる冬夜の姿が。