私の頭から離れていく手を見て、そう思った。
「この前話したが、俺には好きな相手がいる」
急に始まった滝先輩の話に、ドキッとする。
「本名は知らないが、サラと呼ばれている相手だ」
さ、サラの話……。つまり、自分の話になるため、できれば遠慮した……。
なんて、そんなことを言えるはずもなく、耳を傾けた私に届いたのは……。
「彼女も、由姫と同じことを言ってくれた」
滝先輩の、衝撃的なセリフだった。
「……え?」
サラが……私と同じことを?
ちょっと待って、それって、私が昔、滝先輩に同じことを言ったってことだよね?

