「……美味い」
席に座って、ふたりでクレープを食べる。
美味しそうに目を輝かせた滝先輩に、笑みがこぼれた。
「滝先輩もこのクレープ屋さんにはよく来るんですか?」
「いや、初めてだ」
「えっ……!」
てっきり、南先輩と仲がいいから、ふたりでよく来るんだと思ってた……!
それに、滝先輩は甘いものが好きだから、スイーツ系のお店は全部制覇しているものだとっ……。
「甘いもの、お好きでしたよね?」
念の為、そう確認する。
「ああ……だが、俺みたいな男がひとりで食べに来るのも気が引けてな……」
少し自嘲気味に笑った滝先輩。
「一度食べてみたかったんだ。連れてきてくれてありがとう、由姫」
ありがとうなんて、そんな……。

