春ちゃんの顔は、見ていられないほど悲痛に歪んでいて、目を逸らしたくなった。

 けど、絶対に逸らさない。



「前の、私が大好きな春ちゃんに戻ったら……」



 私は最後まで笑顔を崩さず、まっすぐに春ちゃんを見つめながら言った。



「また、お友達になろうね」



 そんな日が、来ますように……。



「由姫……!」



 何か言いたげな春ちゃんの春ちゃんの腕を、強く引っ張る。

 隙を突くように、首の側面を強く押すように手刀で打つ。

 がくんと、意識を手放し傾いた春ちゃんの体を、すんでのところで受け止める。

 意識を失った春ちゃんの顔を見ながら、ふっと笑みをこぼす。

 そう言えば、改めて見ると春ちゃん、身長が伸びたなぁ……。

 顔も前よりもしゅっとして、たくましくなってる。

 最後に気づいた春ちゃんの変化に、私たちが変わってしまったことを改めて感じた。