「さ、ら……!」



 視界に映った顔には隈ができていて、心配になる。

 もしかして、今日も寝ていないのかな……?

 ベンチから立ち上がり、歩み寄ってきてくれる春ちゃん。

 その表情は明るく、瞳は輝いていた。

 それだけ私との再会を待ち望んでくれていたのだと思うと、やっぱり胸が痛む。

 だからと言って、決心が揺らぐことはない。

 春ちゃんにとっては、久しぶりの再会かもしれないけど、本当は違うんだよ。

 そのことについては、話すつもりはないけれど。



「会いたかった……っ」



 春ちゃんの言葉に、「私も」とは言えなかった。



「うん」



 そんな曖昧な言葉しか返せない私を見て、春ちゃんが表情を変える。



「あの、俺……」



 何から話せばいいかわからないといった様子の春ちゃんに、私から話を切り出すことにした。