朝が来た。

 待ち合わせの時間に行けるように、支度をする。

 私が昨日指定した湖は、初めてこの学園に来た時……途中の道で見つけた場所だ。

 校舎を出て、10分ほど歩いた場所にある小さな湖。

 そこを指定したのは、誰にも見られないためと……近くにお手洗いがあったから。

 変装した状態でその場所へ行き、トイレの個室で変装を解く。


 ……よし、これなら見つからないだろう。


 私はそのままの素顔で、湖へと向かった。






 ……あっ。

 まだ待ち合わせ時間より30分も早いのに、春ちゃんがいた。

 ベンチに座りながら私を待っている背中に、心の中でごめんねと呟く。

 直接話すって、結構怖いんだね。

 もう散々傷つけてしまったけど……今から春ちゃんを悲しませると思ったら、胸が痛いよ。



「……春ちゃん」



 名前を呼ぶと、春ちゃんはすぐに振り返った。