その理由はわからないけれど、とりあえず訳を話した。
「む、虫が出たの」
「虫?」
「私、虫が苦手で……蓮さんが家に来てもいいよって言ってくれたの」
たしかに、男の子の家に、一応女の私がひとりで泊まるなんて、ちょっと倫理観に欠けているよね……。
蓮さんに甘えすぎだと、反省した。
「そんなの、僕の家に来てくれたらよかったのに~!」
南くんは何やら悔しそうに、下唇を噛みしめている。
「今度虫が出たら、僕に言うこと! 約束!」
「う、うん」
頬を膨らませながら強い口調で話す南くんに、首をこくこくと縦に振る。
「それにしても、寝る時も変装したなんて大変だね。ウイッグとか結構苦しくない?」
……ん?
南くんの言葉に、頭上にはてなマークが浮かぶ。

