「ゆーきっ」
「わっ……! び、びっくりした……」
ぼうっとしていたのか、驚いている由姫。
天王寺を考えていたのかなと思うと、つい嫉妬してしまう。
はぁ……やっぱり追いかけてでもボコボコにすればよかった。
金輪際由姫と会えなくなるくらいやってやればよかったなぁ。
「ねえ由姫。今日の夜、由姫の部屋に行ってもいい?」
僕の言葉に、由姫は不思議そうに首をかしげた。
「え? ど、どうして……?」
「話たいことがあるんだ」
たぶん、僕が何を聞きたいかはわかっているんだろう。
でも、全部はわかっていないと思う。
「わ、わかった……」
さっきのことについて聞かれると思っている由姫は、気まずそうに視線を下げた。

