「そういえば南、最近サラの捜索はどうなってるんだ? 情報がないみたいだが……」
滝くんまでそんなことを言い出すものだから、勘弁してほしいよ、まったく。
「いっこうに何も見つからないんだよ。報告することも何もなくって、ほんとどこにいるんだろうね~」
本人がいる前で話すなんて、変な感じだ。
当事者の由姫は、居心地が悪そうにしている。
「まあ、天王寺が大人しくなったならいい。最後の様子見だな」
話が天王寺に戻って、僕も適当に相槌を打つ。
天王寺の退学話がいったん中止になり、由姫も一安心みたい。
喉が渇いたのか、由姫が立ち上がった。
給湯室のほうへ行く由姫を追いかけるように、ついていく。
蓮くんは滝くんと話しているから、チャンスは今しかない。
ココアを入れている由姫に、後ろから声をかけた。

