「お……おいしい」
「そりゃそうですよ。
十環先輩が食べたものは
唐揚げですから。冷凍食品ですけど。
恋兄が作ったこんな不気味な物なんて
十環先輩に食べさせられませんよ」
そう言い放った私を見て
十環先輩は珍しく
お腹を抱え込んで笑い出した。
「あ~もう。
笑いが止まらなくてお腹が痛いんだけど。
桃ちゃん、さっきのあれ、なに?
『お弁当を交換してくれませんか』って
かわいく甘えてくれたでしょ?
俺に」
「あれはただ、六花の真似です。
六花だったら
一颯先輩にあんなふうに
オドオドして甘えるかなって。
でも、やってみて思いました。
私には絶対に無理です。
人にかわいく甘えるのなんて」
「あんな風にかわいく甘える桃ちゃん
もう一度見たいな」
「嫌です」
「芝居でもいいよ。
ね、もう1回だけだから」
は~。
私は十環先輩のオモチャだ。
最後には言われた通りに従っちゃう
操り人形。
好きになっちゃった弱みだよね。
甘えるかぁ……
どう甘えればいいかわからないんだよ。
私はもう一度六花を思い出し
十環先輩にうながされるまま
甘えてみた。



