白雪姫に極甘な毒リンゴを 3 (桃華の初恋編)


「十環先輩に……
 お願いがあるんですけど……」


 うつむきながら
 声も小さめにしてみた。


「お弁当交換……
 してくれませんか?」


 六花がオドオドするときにたまに見せる
 床を見つめ
 前髪をクルクルいじる仕草も
 真似してみた。


 それなのに。


「恋都さんが作った……お弁当は
 ちょっと……」


 私の甘えもむなしく
 十環先輩の答えに、心からガッカリ。


「そうですよね……
 私に甘えられても……
 気持ち悪いだけですよね?」


「え? 
 あ……と……
 そういうわけじゃ……」


「じゃあ
 一口だけ食べてもらえますか?」


「う……ん……
 一口だけなら……」


 よし!! 


 甘えにはならなかったにしても
 とりあえずは成功!!


 いつも恋兄の作ったお弁当を食べる私を
 見て楽しんでいる十環先輩への
 小さな復讐ですよ。これは。


 私の中のドSが顔を出し
 ニヤケそうになった顔を
 急いでごまかす。


 そして十環先輩の目の前で
 お弁当の蓋を開けた。


「ももちゃん……
 これは……」


「今日のお弁当のテーマは
 『海に浮かぶ宝石』って
 恋兄が言っていましたよ。

 水色のご飯の上に
 カラフルなグミを乗せてみたって」


「これはちょっと……」


「十環先輩
 食べてくれるって言いましたよね?
 一口だけ」


 さっきまでは
 六花の真似をして『甘える』を
 頑張って演じてみたけど、
 もう限界。


 十環先輩をいたぶりたくて
 悪魔並みの不気味な笑みを
 私は隠しきれない。


「十環先輩、
 目をつぶれば、味はわかりませんから」


「わかったよ。 食べるよ」


 観念して、目を閉じた十環先輩。


 十環先輩の口の中にひょい。


 十環先輩は『?』という表情をして
 目を開けた。