「でもね
 俺が女の子でイジメたいって思うのは
 桃ちゃんだけだから。

 それに、俺に女王様な姿を
 見せてくれる女の子なんて
 桃ちゃんしかいないでしょ?」


「嬉しいような……
 嬉しくないような……」


「どういえば
 桃ちゃんにわかってもらえるかな?
 俺の気持ち。」


「じゃあ、今からステージに上って
 マイクで叫んでください。
 私が好きだって」


「わかったよ。行ってくるね」


「ちょっと、ちょっと。
 冗談ですから。
 恥ずかしすぎですから。」


 本気でステージに行こうとした
 十環先輩の腕を、
 私は慌てて掴んだ。


 そして自分の中にある
 本当の気持ちを言葉にした。


「十環先輩の……
 隣にいたいです……」

 
 ずっと十環先輩に伝えたかった想いを
 吐き出した瞬間
 十環先輩に思いっきり抱きしめられた。


「とわ……先輩?」


「桃ちゃんは本当に
 俺でいいの?」

 
「え?」


「俺、悪魔モードに入ると
 自分でも止められないくらい
 桃ちゃんのことをいじめるよ?
 そんな俺でも、いいの?」


「嫌いじゃないから……
 悪魔モードの、十環先輩のこと」


「素直に
 悪魔モードの俺が好きって
 言ってくれればいいのに。」


「……言えません」


「言ってくれないと、俺
 もう桃ちゃんの前には現れないよ?
 それでもいいの?」