「龍兄……ごめん。 
 写真盾なんか投げちゃって。

 それと……
 ありがとう」


「え?」


「龍兄が助けに来てくれなかったら、
 私もトイプーも
 警察に捕まっていたかもしれないから」


 さっきまで、龍兄に
 キャンキャン吠えていた勢いが消え
 弱々しい声しか出てこない私に
 龍兄が心配そうに聞いてきた。


「桃は大丈夫なのか?」


「だから、お腹とか頬の痛みは、
 根性で何とかなるから」


「そうじゃなくて……
 好きだったんだろ? 十環のこと」


 そのことかぁ。


 もう隠したって
 龍兄は気づいているよね。


 私は素直にうなずいた。