「え? 龍牙さん?」
「龍兄から電話?」
何だろうと桃ちゃんと目を合わせ
俺は通話ボタンを押した。
「もしもし、龍牙さん?」
「十環、今大丈夫?」
「お昼休みだし、大丈夫ですけど。
何かあったんですか?」
「お前さ、恋に言ったんだって?
桃の弁当、これから毎日作ってってさ」
「あ、昨日電話で言いましたけど」
「お前さ
俺の生きがいを取るなよな」
「え? 龍牙さん、
お弁当づくりが好きだったんですか?」
「別に、料理が好きなわけじゃねえよ。
桃の弁当を作るのが好きなだけ」
「意味が分からないんですけど」
「俺を無視しまくってる桃が
俺に声をかけてくれるなんて
貴重なんだよ。
お弁当の時くらいなの。
俺に『ありがとう』とか
言ってくれるの。
わかるか?
お前ならわかるよな?
俺の気持ち」
わからない。
わからないけど。
龍牙さんが桃ちゃんを
こよなく愛しているってことはわかる。



