「十環先輩、私を殺す気ですか?」
「ごめん。つい……」
「どうせ私をからかって
結愛さんとの思い出を塗り替えようって
ことですよね?
生きるか死ぬかみたいなことは
やめてください」
「アハハ。
でも、桃ちゃん
ちょっとは楽しかったでしょ?」
『楽しくなんかあるかい!』って
笑いながら突っ込まれると思った。
それなのに
桃ちゃんはいきなり黙り込んでしまった。
「桃ちゃん?」
「甘えるなんて
やっぱり私には無理ですね。
アハハハ」
そう笑い飛ばす桃ちゃんの瞳が
辛そうに光ったような気がして、
俺の心がズキリと痛みだす。
その時。
「十環先輩は
この階段にどんな思い出が
あるんですか?」
いきなり桃ちゃんから、
質問が飛んできた。
素直に答えようか迷う自分がいた。
言ってしまったら
桃ちゃんの瞳が
もっと悲しく光りそうな気がして。
桃ちゃんは俺のことなんて
好きでもなんでもないって
わかっているのに。
なぜかそう思ってしまった。



