主語も何もないセリフが伝わるわけないのに、自然と口からこぼれていた。

本当に、何も……見えてなかった自分が、情けない。

きっと春ちゃんは気づいてくれると信じて疑わなかった自分が、
恥ずかしい……。



「……」



蓮さんは何も言わず、じっと私を見つめていた。

と思ったら、急に立ち上がり、制服のジャケットを脱いだ蓮さん。

それを、私の頭にかけてきた。

えっ……?

突然のことに驚いたのもつかの間、身体をふわりと抱き上げられる。



「こんな暗いところにひとりでいたら危ない。部屋行くぞ」



……もしかして、顔を隠してくれてるのかな……?

蓮さんのジャケットのおかげで、私の姿は見えない。