『なあ、甘いの好き?俺美味しいケーキある店知ってるけど』

『えっ……ほんとに?』



餌付けのようにサラを誘い出し、幾度となくふたりでスイーツを食べに行った。

甘いものは大の苦手だけど、サラの前では好きなふりをした。

俺は優しい男でもなんでもないけど、サラの前ではとびきり優しい男を演じた。

好きになってもらうために、なんでもした。

サラのためならなんでもできた。

biteを倒す作戦を立てた日。

もし捕まれば何をされるかわからなかったから、fatalの連中は全員サラには出撃を禁止した。

決行日も秘密にしたのに、サラはアジトに乗り込んできた。

しかも……一般人のふりをして警察に『biteに捕まりそうになっている』と連絡を入れ、全てひとりで計算をして。

おかげでbiteは潰れたし、あの日のけが人も最小限で済んだ。