というか、そんな思わせぶりなことをしたら、普通好きになってしまうと思う……まったく、蓮さんは罪な人だ……。

相手が私だからよかったものの……と、蓮さんのことが心配になった。



「そうか?」



本人は少しも自覚がないみたい。こういうのを、魔性の男っていうんだきっとっ……。

そんな失礼なことを思いながら、顔の熱を冷ます。

それにしても、蓮さんと歩いているとびっくりするほど何も言われない……。

いつもなら、何かと陰口や視線を感じるけど、蓮さんが隣にいるときはぴたりと収まる。

同じクラスのみんなといる時も、舜先輩たちといるときも、女の子たちの黄色い声が聞こえるけど……それもない。

なんというか、恐れ多くて近づけない、視線も向けられないと言った感じで、人だかりがあってもみんなさーっとはけていく。

No.1暴走族のトップとはいえ、神聖化すらされている蓮さんの校内での立ち位置を痛感した。

私なんて隣にいいのかなと、罪悪感さえ感じる。

校舎が見え始めた時、私は蓮さんに告げた。