立ち上がった拓ちゃんに手を振ると、弥生くんと華生くんに「由姫にベタベタすんじゃねーぞ」と言い残して教室を出て行った。
「氷高はほんと変わったな~」
出て行った拓ちゃんのほうを見ながら、海くんがそんなことを言う。
「え?」
変わったってどういうことだろう?
拓ちゃんはずっと前から、あんな感じだと思うけど……。
そう思ったけれど、弥生くんも海くんに同意するように首を縦に振っていた。
「ほんとだよ。由姫が来るまではあんなに不真面目だったくせ——」
「ストーップ。それ以上言ったら殺されるぞ~」
何か言いかけた弥生くんの口を、海くんが手で塞いだ。
今、不真面目って言葉が聞こえた気がするけど……気のせいだよね?
「むぐっ、はなひやがへ!!!」
「おい!!やよに触んな!!」
「はいはい、わかったから本気で殴るのやめてくれ」
なんだか楽しそうな3人の姿に、よくわからないけれど微笑ましくて笑みがこぼれた。

