まだ授業まで時間に余裕があるし、急げば間に合う。



「拓ちゃん、取りに行ったほうがいいよっ」



私がそう言うと、拓ちゃんはふっと微笑んだ。



「うん。取りに帰る」



あっさりと忠告を聞いてくれた拓ちゃんに、胸を撫下ろす。



「即答……さすが番犬」



番犬?

謎の言葉を吐いた拓ちゃんを、海くんが睨んだ。



「殺すぞ」



そんなに殺気立てなくてもっ……。

海くんは相変わらずというか、拓ちゃんの威圧に全く怯んでいないけど。



「急いで行ってくる」

「うん!いってらっしゃい」