もう泣かないって決めたから。春ちゃんを想って泣くのは、この前で終わったんだ。

……よし、もうくよくよしない!

ぱちっと頰を叩いてカツを入れた時、蓮さんが帰って来た音が聞こえた。

私はベッドから起き上がって、玄関に向かう。



「蓮さんっ……!おかえりなさい」



靴を脱いでいる蓮さんが、嬉しそうにこっちを見た。



「ただいま。ちゃんと休んでたか?」

「はいっ」

「そうか」



よしよしと、頭を撫でてくれる蓮さん。

それが嬉しくて、身を委ねるように目を瞑った。