「どうした?」 「す、すみません、抱きついてしまって……」 謝ると、蓮さんはなんだそんなことかと言うように笑った。 私の手を引っ張って、隣に座らせた蓮さん。 少しの間、室内に沈黙が続く。 「……聞かないんですか?」 「ん?」 「な、泣いてた理由……」 何も聞いてこない蓮さんが不思議で、そう尋ねる。 「言いたくないことは言わなくていい」 蓮さんは、再び私の頭を撫でてそう言った。 「ただ、由姫の心が落ち着くまではそばにいさせてくれ。心配だから」 ……蓮さん。