翌朝8時。

 待ちに待った結月からのメールが、やっと返って来た。

『今、神社』

 …これだけ。
 だけど、やっと会える!!




「…………結月!!」


 大地と二人で神社へ行くと、満開の桜の木の下に、会いたかった結月が立っていた。

「さくら。…あれ、大地だ。…まぼろし?」

「本物」

 大地は短く、これだけ答えた。


 私は結月に勢いよく抱きついた。


「…会えなくて寂しかった」


 結月は頷き、私を強く抱きしめ返した。


「私も」


 女の子なのにとても、背が高い結月。
 肩までの艶やかで真っ直ぐな黒い髪。


「……結月!」


 私の一番の、大親友。


「どうして返事、くれなかったの?」



「……さくらに会ったら、私が泣くから」



「…………」



「…私が泣いたら、…さくらも泣くから。…でも」



 結月は目に涙を浮かべながら、私を見た。



「神社の桜が、部屋の窓から見えたの。ずっと咲かなかったのに、急に満開になったから…びっくりして…」



「それでここに?」


「うん」


「…………」


 気づいたら、涙が次から次へと溢れて来る。


「…本当は私、さくらと離れたく無いの。だけど、行く事に決めたんだ」


「うん」


 涙は止まらなかった。

 けれど、心は少し落ち着いた。


 やっと結月に会えたから。