桜が散ったら、君に99回目のキスを。

校舎の影でサボっているらしい人たちの間を足早に通り抜けて校舎の裏に回り込むと、こちら側は人がほとんどいなくて閑散としていた。


ビビットな赤の自販機の前に人影はない。


そんなにタイミングよく会えるわけないか。


ここで待っていたって約束してるわけじゃないし。


諦めて人が多そうな所を探してみるけれど、相馬くんらしき人は見当たらなかった。


試合の準備してるのかな。


このまま帰るまで会えないなんてことも…と考えかけて頭を振る。


恋をすると、どうも欲張りになってしまうらしい。


出会ったばかりの頃は電車の中で見つけるだけで嬉しかったのに。


もっと話したい。


もっと声が聴きたい。


もっと笑って欲しい。


そんな想いが溢れて、胸がぎゅうっと痛くなる。


きっと、元には戻ってくれない。


それでもいいと思ってしまうのは、もうその恋に落ちてしまっているからかもしれない。