桜が散ったら、君に99回目のキスを。




8日後、かこと待ち合わせしている白峰女子の最寄り駅にひと足早く着いた私は、駅外の広場に咲く桜の木の下のベンチに腰を下ろした。


花びらが敷き詰められたレンガの地面は薄桃色に色付いて、まるで砂糖がまぶされた甘いお菓子のようだ。


もうすぐ、桜の季節が終わる。


今年の冬は寒さが長引いて開花が遅かったのに加えて、この桜は八重紅しだれ桜と言って、開花時期が長い種類の桜だから例年よりもずっと遅い時期まで咲いていた。


でも、もうその愛らしい小花の隙間に若草色の新芽が見え始めている。


短く儚い時間が終わろうとしているのだ。


「切ない、な」


青く繁る葉が揺れる季節だって素敵だけれど、過ぎゆく時間はいつだって少し寂しい。


私の声に応えるように、ざぁ、と枝を揺らした桜が花びらを散らした。


淡いクリーム色のスカートが足首を掠める。