桜が散ったら、君に99回目のキスを。

「…白状すると、彼が西高にいるの」


かこは私の視線に耐えかねて、ふぅ、と息を吐き、顔を逸らすように頬杖を付いた。


その耳が熟れた桃のように赤い。


「か、彼って…」


「幼馴染なんだけど、同い歳で」


平然とパワーワードを並べるかこに脳が追いついてくれない。


だってそんなの一言も聞いていなかったし、聞いていたって驚いたに違いない。


「ずっと好きで、一昨日付き合うことになった。ちゃんと円依には報告しようと思ってたんだけどタイミング掴めなくて」


身じろぎをして視線を机に落とすかこは申し訳なさそうに肩を縮こめる。


私は慌てて手を振ってかこの手を取った。


「違うの、びっくりしただけで…!おめでとう。私も、すごく嬉しい」


自然とかこの手を握る手に力が入る。


本当に嬉しかった。


ずっと一緒にいたかこに彼ができるのは気恥ずかしかったけれど、何よりもかこが幸せそうで心から祝福したかった。


胸の内からムズムズした想いが湧き上がって、胸いっぱいに広がるみたいに温かくなる。


「ありがとう」


目を細めてかこが笑う。


それは私が初めて見る、“女の人”の表情だった。