桜が散ったら、君に99回目のキスを。

「…大きい水筒持って行くの重いし、向こうで買うか」


そう言って相馬くんは苦い顔をする。


運動、嫌いなのかな。


相馬くんの肌は白い。


日に焼けていなくて、黒髪がよく映える。


相馬くんが運動苦手でも不思議じゃなかったし、でもスポーツをする姿も容易に想像できた。


「あの、球技大会はいつあるの?」


「来週の土曜日」


よかった、予定は空いてる。


観に行きたい。


そう言ったら困るかな。


「来るの?」


相馬君が僅かに首を傾けた。


「あ…うん、観に行きたいなって。……迷惑?」


「いや、男だけだからむさ苦しいだけだと思うけど。それでもいいなら俺は別に」


特に気にした様子もなく、相馬くんはフラットに言った。


あぁそれと、と彼は続ける。


「来るなら友達とか連れてきた方がいい。…うちの高校ガラがいいほうじゃないから、鳴宮さんだけだと男子捌けないと思う」


確かに、男子校の球技大会にひとりで行くのは心細い。


かこも誘ってみようかな。


かこは兄弟もいるからタフだし、時折スタッフのバイトをしているくらいイベント好きだ。


学校に着いたら話してみよう。


「友達、誘ってみる」


「俺が言うのもおかしな話だけど。…下手なところ見せられないな」


そう言って首を掻いた相馬くんは年相応の顔をしていて、いつもずっと大人びているから、なんだか可笑しくてむず痒かった。