いつかは、大晴も気づくはずだ。

自分の家庭と他人の家庭の違いに気づくことになるはずだ。

もし大晴が父親のことについて聞いてくることがあったら、私は何て答えることができるのだろうか?

そんな私の質問に大晴は首を横に振ると、こう答えた。

「寂しくないよ」

意外なその答えに私は、
「どうして?」
と、私は聞き返した。

「ママと風斗パパと雪穂ママがいるもん」

笑顔で私の質問に答えてくれた大晴が嬉しくて、私は泣いてしまったのだった。

大晴には、当然のことながら本当のことは打ち明けていない。

最近になって、お兄ちゃんと雪穂さんに周晴さんのことを打ち明けたのだ。

「大晴がある程度の年齢――そうだな、高校生くらいになったら打ち明ける必要があるかも知れないな」

あの後で、お兄ちゃんはそう言った。