「実は…希里恵に、僕との間にできた子供がいます」

そう言った周晴さんに、
「えっ?」

乙國さんはそうなのかと言うように、私を見つめた。

「周晴さんの前から姿を消した2ヶ月後、私の様子がおかしいことを心配した兄に半ば強引に病院に連れて行かれました。

病院での診察で、私のお腹の中に周晴さんの子供がいることがわかったんです」

私は言った。

「希里恵はあんたの息子との間にできたその子供を生むことを決意した。

でも、俺たちの両親はそのことに反対した」

私たちの間に入ってきた声に視線を向けると、お兄ちゃんがいた。

お兄ちゃんの隣には、雪穂さんと大晴がいた。

「えっと、彼女は…?」

雪穂さんに気づいた乙國さんに、
「田渕風斗の妻の雪穂です」

雪穂さんは自己紹介をすると、ペコリと頭を下げた。