リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「――僕は、何も知らなかった…。

周子がいじめられていたことも嫌がらせをされていたことも、何も知らなかった…」

そう言った乙國さんに、
「何で何も知らなかったんだよ!?

知らなかったって言ってるけど、本当は見て見ぬふりをしたんじゃないのかよ!?

自分の嫁がこんな状態になるまで、あんたは何も気づかなかったのかよ!?」

お兄ちゃんが怒鳴るように言った。

「お兄ちゃん、落ち着いて…」

「気持ちはわかりますが、落ち着いてください…」

そんなお兄ちゃんを私と周晴さんはなだめた。

「――周子は、黙っていたんだ…。

僕に何も言わないで相談もしないで、ただ1人で耐えていたんだ…。

いじめられても嫌がらせをされても、ずっと耐えていたんだ…」

乙國さんは洟をすすった。