生きていくんだ。それでいいんだ。



「カエデさんに怪しまれないよう、ゆっくりと後ろを振り返ってください。」


「・・・?・・・・!?」


言われた通り、自然な感じで首を後ろに向けると・・・



『・・おはようございます・・。』


「門田さん・・。」


『ご、ごめんなさい・・。
付いてきちゃって・・。』


「ビックリした・・。
あ、でも大丈夫ですよ。

それより一晩経ってお気持ちのほうは落ち着・・」


「星野君。」


・・・・?


門田さんと話を続けようとしたところで豊川さんに遮られた。

一体なん・・・・あ・・。



「お待たせしました~!

テツさん、しっかり食べないとダメですよっ。」


「はい。今日のお昼と夜に頂きます。
ご馳走様でした。」




そうだ・・この光景を当たり前に感じてしまったらダメだ。

TPOをわきまえるようにしないと・・

カエデさんや店長さんからすれば、

僕は何も無い空間に向かってエアー会話をしているように見えてしまうんだから・・。



「では参りましょう。」


お会計を済ました豊川さんと二人・・いや、門田さんも含めて三人でお店の外へと出る。




「ありがとうございました~!
また来てくださいね~。」


『新米くん!頑張れよ~!!』
『ガハハ!しっかりやれよ~!』


手を振って見送ってくれたカエデさんだけで無く、

エールを送ってくれた漁師さん達の分も合わせて深く会釈をした後、扉を閉めた。