生きていくんだ。それでいいんだ。



「・・・・・・・・・・・・。」


「どうしました?
君も朝食がまだなら奢りますよ。」


「思い知りました・・・。」


「何をですか?」


「こんなにも・・・
胸が苦しくなるんですね・・。」


「・・・・・・・。」


「死者と話をする。

それは母の時も、町内会長さんの時にも経験済で、むしろ慣れた事です。

でも・・【被害者と話をする】・・。

豊川さんのお辛さや大変さが、
少しでも分かった気がします。」


「・・・と言いますと?」


「明日も、明後日も、その先も。
生きたかったはずです。

それなのに・・命を奪われた。
抗えない強い力で押さえつけられた。


“淡々と犯人に関する情報を聞くだけだ”
って簡単に捉えていたけど・・

被害者の痛み、苦しみ、無念さ・・

これらも全て受け止めなければいけないんですね・・。」


「・・・・・・・・・。」


「正直、現場から帰宅した後、
一睡も出来ませんでした。

勿論、被害者の為に働きたいと願っていた自分にとっては光栄な事です。

でもそれと同時に・・豊川さんも今まで解決してきた事件の数だけ、

こうやって被害者の想いも受け止めてきたんだろうなって・・。」