「星野君、素直におめでとうと言いたいところだけど・・・。」


「・・?」


部長では無いけど・・
“大原”という名前から、

“部長”とあだ名がついている大原先輩に話し掛けられる。


「よりにもよってセイズ署の刑事課かぁ。」


「どういうことですか?」


「あそこはかなり手厳しい部署だと思うぞ。なんてたって・・・。」


「あ、【被疑者検挙率100%】の事ですか?」


「そうそう。

全国の警察署の中で唯一、

“絶対に犯人を逃さない”事で有名なセイズ署の刑事課なんだから・・。

恐らく相当スパルタというかストイックな捜査をしてると思われる。」


「セイズ署には被疑者の移送や引き継ぎで何度も足を運んだことありますが、

確かに刑事課の皆さんはどこかオーラが違いましたからね・・。」


「俺な、あそこに何人も知り合いがいるから聞いた事あるんだよ。

“どうして絶対に犯人捕まえられるんだ?”って。」


「・・・・・・・・・。」


「詳しい内容は絶対に教えてくれなかったけど、

“物的証拠さえ挙げればいいんだから簡単だよ”・・って一言だけ。」


「もの凄い自信の現れですね・・。」


「そうだろ?あいつらまるで、

“犯人は最初から分かってる”
っていう前提で話してくるんだよ。」


「誤認逮捕の話も聞いた事ないし、よっぽど卓越した捜査が行われるんでしょうね・・。」


「星野君なら大丈夫だと思うけど、

もしあそこの環境が辛くなったりしたらいつでも戻ってこいよ。」


「ありがとうございます。

でも・・むしろ嬉しいですよ。

絶対に犯人を逃さない集団の一員になれるなんて。」