「君も・・ゴホッゴホッ！
・・吸いますか・・？」


「大丈夫です。」


「聞き込みお疲れ様でした。

星野君が見つけ出した証人のおかげで、被疑者も観念して自供くれましたからね。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「・・どうしました？」


「今回の被害者も、僕に訴えかけてこなかったということでしょうか・・？」


「良い事です。

初日にも言いましたが、君にはこっちの世界に足を踏み入れて欲しくありません。

もうこれ以上“視えない”事を祈っています。」


「僕なりに考えてみました。」


「・・君もなかなか頑固な子ですね。」


「母も、町内会長さんも、
漁師さん達も・・。

僕は“視よう”と思って視えたわけじゃありません。

でも、ここの一員になって、豊川さんと一緒に被害者に相対した時、

僕は必要以上に“視たい”と力が入っていました。」


「・・・・・・・。」


「自然体だったから視えたというか・・死者の方々がどうのこうのではなくて、

僕の心持ちに問題があったのかもしれません。」