第1章
刑事 星野ヨシヒト
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“霊視コンビ”
僕と豊川さんの事を、
刑事課の仲間達はそう呼ぶようになった。
豊川さんが言っていた通り、
「僕も視えるんです」と告白しても、
そこに無駄なやり取りというか、
疑惑の眼差しなんてなくて、
“豊川さんの負担がこれで減る!”と皆が一気に歓迎ムードとなって僕を受け入れてくれた。
ただ・・・
「いるんですか・・・?」
「そこの角です。視えませんか?」
「・・・はい・・・。」
刑事課の一員になって3ヶ月・・。
その間、幾つもの事件が発生して、
豊川さんと現場検証や司法解剖に立ち会ったけど・・僕には何も視えなかった。
「星野君、言っておきますが“視えない”事が当たり前ですからね。
一刑事としてやるべき事をやって頂ければいいんです。」
霊視コンビと言われながら・・
結局は他の皆と同じ様に、豊川さんが被害者から聞き出した情報を基に捜査を進めるだけ。
豊川さんの負担を減らすどころか・・今のところ何の役にも立てていない・・。