プロローグ






“好きな芸能人は?”と聞かれたら、
僕は2人の人物を挙げる。


“佐藤浩市”
“リリーフランキー”


この2人には共通点がある。

彼らを好きになった理由、
きっかけが同じだ。



あれは小学校の高学年・・
いや中学1年だったかもしれない。


とにかく、ある日宿題を終えて自分の部屋からリビングに行くと、

母が“日本アカデミー賞 授賞式”を見ていた。


冷蔵庫から牛乳を取り出し、
ゴクゴク飲みながら僕も母の隣に座る。


ちょうどテレビ画面では“最優秀 助演男優賞”の発表がされていて、

スポットライトを浴びていたのが佐藤浩市だった。


勿論この時の僕はそこまで俳優の名前に詳しくもなければ、映画だって詳しくなく、

最後に映画館に行ったのは多分コナン君かしんちゃんの映画だったはず。


だから受賞した佐藤浩市も、
その作品も知らなくて、

母親と一緒に“へ~~”と漏らしながらテレビ画面を眺めていた。