22時を回り、中橋さんが訪問先から戻ってきた。

「ただいま戻りました」

「おかえりなさい!」

内勤4人が口を揃えて迎える。

「はい、ねこ先生」

と、中橋さんは、私の机の上に何かを置いた。

見ると、置かれたのは、チョコレート。

生チョコタイプのちょっとお高めのやつ。

「え?」

私が振り返って見上げると、中橋さんは、

「今日のゆうなちゃんの契約取れたの、
 ねこ先生のおかげだから」

と笑顔で答える。

いやいや、そんなことは…

「いえ、中橋さんの実力ですよ」

「ううん、お母さんもゆうなちゃんも、
 ねこ先生とまた勉強したいって言って
 くれたのが1番の決めてだから。
 ありがとう」

中橋さんは、私の頭にぽんと一瞬だけ手を置いて、所長のところへ向かった。

その何気ないぽんで私の心臓がどれだけ早鐘を打つのか、あなたは知らないでしょうね。



月初めから売上を上げてきたのは、今のところ中橋さんだけ。

今月も、1000万超えるのかな?