フッと眠りから冷めると、もう外は夜で、私は車の中にいた


「あ、起きましたね。今ちょうど真鍋さんの家に向かっているところです。」


運転席に目を向けると、この前と同じ人だった

福嶋さんだっけ?

この人と会うのも今日で2度目だ

服は私の服では無い服に着替えられていて、隣には当たり前のように本田くんがいる


「この服、どうしたの?」


私が来ているのは真っ白のおしゃれなワンピース

こんな服私には似合わない


「あぁ、制服しかなかったので適当に買ったものです。俺が持ってても使わないのであげます。」


昨日から私はどれだけ迷惑をかければいいのだろう

誰が着替えさせたかはこの際気にしない


「貰えないよ。」


「返してもらってもいいですけど、そのあとこの服は捨てますよ?」


当たり前のように言ってるけど、普通ではない

高校生が誕生日でもなんでもない日に服なんてプレゼントしないでしょ?

でも、そんなこと言われたら貰うしかないじゃない

私が貰えるように仕向けたのだろう

本田くんは、いつもそうだから


「…じゃあ、貰う。」


そういえば、治療費どうしたんだろう

ずっと寝ていた私に支払いが出来るわけでもなく、いつの間にか退院している

そう考えると、本田くんが払ったとしか考えられない


「病院のお金は?それは払う。」


これだけは譲れない

だって、勝手に雨に濡れて風邪ひいて、そのお金を関係ない人が払うのなんておかしいでしょ?


「いいですよ、そんなの。気にしないでください。」


「気にするから言ってるの。これは譲らない。」


そう言うと、困った顔をして、何かを決断したように表情が変わった


「お金はいいので明日は倉庫に来てください。お金の代わりに。そっちの方が嬉しいので。」


本田くんは、一度口に出したことは曲げない

そんなことは分かってたのに私も意外と頑固だね


「分かった。」