ん…?




目を覚ますと、白い世界にいた

だるさは残るものの、だいぶマシになっていた

ここ、どこ?

硬いベッドに寝ている私のまわりは、カーテンで仕切られている


もしかして、病院?


「起きましたか。」


「本田くん?私、どうして…?」


「車で家まで送ろうと思ったんですけど、あまりにも熱が高かったので病院に連れてきました。今先生呼びましたから。」


するとすぐに先生と看護師さんが来て、軽く診察していなくなった


今考えれば、私は病院のパジャマを着ていて、本田くんは、私服姿

帰って着替えてきてくれたのかな?


なんだか、変な感じがする


見慣れないからか


「迷惑かけてごめんなさい。」


「いえ、迷惑なんて思ってないので。」


…あっ、お母さんになんて言おう



外は日が沈みかかっていて、あれからまだ数時間しか経ってないだろう

今から帰れば、病院のことバレなくて済むかな?



帰ろう



ベッドから足をおろして、棚を開けると丁寧に畳まれた制服が入っていた


「本田くん、着替えるから出てもらえる?」


ベッドから降りた私に不思議そうな顔をしているが、今はそんなことどうでもいい

早く帰らなきゃ


「着替えてどうするんですか?」


どうする?

そんなの分かってるくせに


「帰るの。親に何も言ってないし。」


本田くんは、ハッとした顔をして、私に視線を戻した


「真鍋さん、今日は何曜日ですか?」


えっ?

何言ってるの?


「金曜日でしょ?何言ってるの?」


当たり前のように答えたつもりだったが、本田くんは、「やっぱり」と呟き、言葉を続けた


「真鍋さん。今日は土曜日です。病院に連れてきてから今まで眠ったままでしたから。」


「…え…っ?」


土曜日?

じゃあ私、丸一日寝てたってこと?

本田くんが私服姿なのは、休みの日だからってこと?



あー、終わった



今更急いで帰ったところで意味ないってことね


制服に伸ばしかけた手を止めて、ベッドに戻った