グレーとクロの世界で




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



体が温もりに包まれて、フワフワとしている


なんだか、凄く幸せ


夢の中なのかな?


なんだか、保健室で見た夢の暖かさと似てる気がする


それが何よりも心地よくて、心から笑顔になれた気がした


ずっとこの温もりの中にいたい


もう…一人は嫌だよ……




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ん……?



あれ?ここ、どこ?


私、屋上にいたんじゃなかった?



私が寝ていたのは屋上の地面ではなく、柔らかいソファだった


窓の外を見ると、部活をしている人の姿が目に映り、放課後なのだと知った


熱は相変わらずで、ボーッとする頭でここがどこなのか考えたら直ぐに答えが出た



第4音楽室だ



本田くんと会ってからここには来ないと決めたはずなのに、なんで私はここに居るのだろう

その疑問は、私の体にかかっていたブレザーが証明してくれる

男子生徒のブレザー

しかもこの場所を使っている人

そんなの一人しかいない



ガチャ



「本田くん……。」


ここは彼の特等席だ

暴走族の仲間だとしても、ここは使っていないのだろう

私は勝手に考えをめぐらせ、そんなことを思った

ここはなんだか、本田くんだけのプライベートスペースな気がしたから


「起きましたか。」


何事も無かったかのように話し始める本田くんに、若干戸惑った

私が戸惑っているのを気にする素振りはなく、どんどん私に近づいてくる

きっと、私を屋上から運んだのは本田くんなのだろ

それだけは何となく想像出来た