グレーとクロの世界で



キーンコーンカーンコーン


……あー、寝てたのか

病人っていつでも寝れるのね


「じゃあ、今日のところはテストに出すからな。」


そういった先生は、ダルそうに教室から出ていった


さっきまで意識を失っていた人も、昼休みとなると話は別だ


「おい、お前寝てたろ!」


「お前もだろ!」


「昨日のドラマ見た?!」


「見た!やばいよね!」


突然賑やかになる教室に、私は思わず眉間に皺を寄せた

頭に響くからやめてほしいんだけど

そんな願いが届くはずもなく、教室はさらに賑やかさを増す


いつの間にか雨が上がった空は澄んでいて綺麗なのに、今日の私はダメダメだ


「香澄、私ちょっと行ってくる。」


耐えきれなくて再び教室から出ていく私に、後ろから「また?!」と大きな声が聞こえる

そんな声に耳を傾けることもせず、私は屋上へと向かった


保健室なんて行ったらまた熱測ったりなんだりめんどくさいでしょ?


熱があったって帰れないんだから、そんな面倒なことはごめんだ

動く度にズキズキ痛む頭にイライラしながら足をとめず歩き続ける

昼休みの学校はどこもうるさくて今の私には耐えられない

早足に屋上へ続く階段をのぼり、重たいドアを開ける


ガチャ バタンッ


ドアが閉まると、全ての音が世界から無くなったみたいに静けさに包まれる

空は青く澄み渡り、ほんのり雨の香りがする


少し寒いけど、熱で火照った体にはちょうどいい

日が当たってて地面が乾いてる所に腰掛け、寝転がる

誰もいないこの空間が、今の私には丁度いい


ここで寝たら風邪悪化するんだろうな


でも、もうどうでもいいや


今日はどれだけ寝ても寝足りないみたい

悪化するかもしれないけど、それは起きてから考えよう


意外と楽観的な私は、そう思うと目を瞑って意識を手放した

太陽の下の眠りは、ポカポカと私を包み込むように眠りへと誘った…