グレーとクロの世界で



自分の席はもちろん空席だけど、その隣も空席だった

総長様は優雅におサボりですか


私だって休みたいのに


なんて愚痴を言ってやりたいが、その相手はいない


名取くんもお供してるみたいだし、優雅な暴走族だね

まぁ、今の私にはいない方が好都合か


本田くんには何言っても本心バレちゃうみたいだし、見透かされてるみたいで良い気はしない

何も無かったかのように席に着くと、香澄が直ぐに声をかけてくる


「あっ、夏音帰ってきた!どこ行ってたのよ。私もサボりたかったのにー!」


香澄はきっと、私が本田くんたちと一緒にいたと思ってるんだろう

香澄は名取くんのこと好きだもんね


「香澄が考えてるような人たちとは一緒じゃなかったよ。もちろん名取くんもね?」


「な……ッ!そ、そんなこと誰も聞いてない!名取くんのことなんて気にしてないし!」


そんな真っ赤になって慌てられたら否定も肯定に見える

気にしてますって顔に書いてある


「はいはい。」


こういう時は軽く流しとくのが一番


「もー、からかってるでしょ?」


「ちょっとね?」


ガラガラ


「授業始めるぞ。席付けー。」


なんだかまだ私に言いたいことがあるみたいたけど、先生が来たから諦めたみたい

ほんと、名取くんのこと好きなんだな

昼前の授業は、エネルギー切れのみんなにとって地獄みたいで、意識が飛んでる人が多い

私は授業の内容だけ確認してから、聞く耳を持つのをやめた


ガンガン響く頭痛には参ったが、体の重さはもう慣れた

熱はもう上がり切っていて、春の陽気でもじんわり汗をかいている


早く授業終わんないかな

そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りについていた