グレーとクロの世界で



曇った空からは、今のところ雨は落ちてこない

いつもより短い時間で終わったはずなのに、疲労はいつもより多く感じる

初めての感覚に頭が追いつかず、微かに頭痛も残っている

あぁ、今日はダメかもしれない……

たまにあるこの感じ

カウンセリングの後は精神状態が落ち着かなくて、一人でいることに恐怖心を抱く

家に帰ったら、きっと今の私は一人に耐えられない

かといって、一緒にいてと連絡できるような友達も家族もいない

孤独だ……

でも、ここで誰かの温もりを感じてしまったら、もう離れられなくなる

一度温もりを知ってしまったら、さらに孤独が怖くなる

そう思うと、結局誰にも頼れない


どこに行こう

とりあえず、人がいる所

明るいところに行きたい

繁華街は治安が悪いし、かといって夜まで人がいるところなんてあまりない

どこに行くかを考える前に着替えなければ

制服のままではどこに行っても目立つ

カウンセリングの日には私服も持ち歩くのが私のルール

この精神状態になると、家に帰りたくなくなるから


病院近くの公園のトイレに入り、制服から着替える

服装は夜に紛れるようにいつも黒

髪の毛は下ろしたままメイクをする

夜の街にスッピンは不自然だから

簡単なメイクを施して、人気の多い場所に向かう


向かうのはいつも結局ここ

夜に輝きを増す街、繁華街

ここ以外に場所が思いつかない

治安は悪いけど、ここ以上に人を感じられるところはないから

パーカーのフードを被り、商店街の中心地まで進む

進むにつれて騒がしくなる街は、一人だということを忘れさせてくれる

周りを見渡せば、飲み会に行くサラリーマンやOL、友達とワイワイ騒ぐ学生、出勤している夜の世界の人など様々だ

私は道の片隅に腰掛け、もうすぐ闇に包まれる空を見上げた

微かに雨の匂いがする空気を肺いっぱいに吸い込み、吐き出す

周りの人達は私に目もくれず、それぞれの時間を過ごす

それでいい

ただ、一人じゃないと思いたいだけだから

徐々に空は闇に包まれ、雨の匂いも濃くなる