コンコン。

その時病室のドアがノックされた。

「失礼しますよ」

現れたのは関根院長で、忙しい診察の合間を縫って会いにきてくれたのだろう。首に聴診器をぶら下げたままの格好だ。

だが今は三井先生と一緒なので少し気まずい。どう説明すればいいのだろうか。

「すみません、わざわざありがとうございます」

「いえいえ、おめでとうございます。無事に生まれたようでよかったです」

いつも以上にニコニコと穏やかな関根院長は、コットの中を見てさらに目を細めた。

「おやおや、可愛らしい。実におめでたいですね。いやぁ、よかったよかった」

なぜか関根院長は三井先生を見つめて意味深に何度も頷いている。

私は意図がわからずポカンとしてしまう。

「爺さん、わざとらしすぎやしないか?」

「はて、そうですか?」

「とぼけないでくださいよ」

爺さん……?

二人は知り合い?

やり取りに目を丸くしていると、病室に小園さんと滝野さんがやってきた。

「あら、若先生!」

「お久しぶりじゃないの、お元気でしたか?」

小園さんと滝野さんもどうやら三井先生を知っているらしい。

爺さんと呼んでいたし、まさか……ね。