全てがつながった。組み合わせ抽選会の日、西くんを見送りながら


「絶対に負けられねぇんだよ、俺。この夏だけは、絶対に・・・。」


と哲が漏らした言葉の意味。昨日の試合で打たれた後


「全部おじゃんにしやがって。兄貴思いのいい弟だ。」


と嘆いた言葉の意味。そして今日、哲が早々にグラウンドから姿を消してしまった意味・・・全部が私の中でつながった。


「純ちゃん。」


「はい。」


「哲のこと、好き?」


「はい。」


私の問いに、躊躇うことなく頷く純ちゃん。


「哲は純ちゃんとの約束果たせなかったよ。」


「そんなこと・・・関係ありません。そんなこと、はっきり言ってどうでもよかったんです。私があの時、もったいぶらないで、哲さんの言葉に素直に頷いていたら・・・こんなことになってないんです。後悔してます。私、どうしたらいいんですか?」


訴えるように言う純ちゃんの顔を見て


「わかった、私に任せて。」


私は笑顔で頷くと、スマホを取り出す。そして、何回かコールすると、本当に面倒くさそうなアイツの声が。


『なんだよ。』


「今、どこ?」


『寮だよ。』


「何してんの?」


『どうでもいいだろ。』


「じゃ、すぐに校舎裏に来て。」


『なんでだよ。』


「なんででも。別にそのままふて寝してても、構わないけど、あとで後悔しても知らないから。じゃ。」


『お、おい!』


なにやら叫んでる哲を無視して、私は電話を切った。


「恵美さん・・・。」


そのやりとりを聞いていた純ちゃんが私を見る。


「アイツ、すぐに来るはずだから。後は2人でちゃんと話すんだよ。」


「でも・・・。」


「大丈夫。お互いの本当の気持ちをぶつけ合えば、きっと大丈夫だから。」


「・・・わかりました。」


純ちゃんが頷いたのを見て


「じゃ、邪魔者は消えるから。」


私は笑顔で、その場を後にした。