「あっ...」



着いてしまった。


朝呆然と家を出て、今は嬉しくもあり寂しくもあり、不思議な気持ち。


いよいよ、


楽しかった今日が、


奇跡的な1日が、


終わる。



「今日はありがとう。すっごく楽しかったよ。しかもここまで送ってもらっちゃってなんか申し訳ない」


「一応心配だからな」


「本当にありがとう。じゃあ...」



またね、


なんだけど、


3月1日があるんだけど、


私にとっては、


さよならなんだ。


さよなら......


したくないよ。


やっぱり、


側に...いたいよ。



「奈和」


「あっ、ごめん。じゃあ...またね」


「またな」



彼の背中が遠ざかる。


走って後ろから抱き締めたい。


体温を感じたい。


呼吸を感じたい。


キミの全てを感じたい。


だけど、


出来ないから......


出来ないから、さよならなんだ。


...バイバイ。


バイバイ、玲音くん。