ゴミ捨てのタイミングで渡すことになったのは想定外だった。



「お誕生日おめでとう!」



私の声が夜の田舎町に響き渡った。


彼は立ち止まり、振り返って私を見た。


私は黙って箱を差し出す。



「なんだよ、これ」


「お誕生日おめでとうって言ってるじゃん」


「プレゼント、なのか?」



状況で察してほしい。


嫌われてる身で「じゃじゃーん、誕生日プレゼントだよ!」なんて言えるわけないんだから。



「あり、がと」



久しぶりに優しい言葉が返ってきた。


ずっと聞きたかった言葉だった。


ずっと待っていた言葉だった。


ずっと聞けずにいたから、なんだか涙が出そうになった。


少し上を向いて空気を吸い込み、気持ちを整えた。


彼はなぜか手を震わせながら受け取った。


そして、


あの疑問を口にする。