「あのさ、天野…」
まっすぐな瞳に甘い笑顔を
浮かべた一ノ瀬くんの顔が
さらに近づいたところで…
「わわわっ!」
バランスを崩して
そのまま後ろにひっくり返った。
マットのうえに仰向けに倒れて、
用具室の低い天井が視界を覆う。
次の瞬間、
視界が暗くなって、目をパチパチさせる。
あれ?
目の前に迫るのは、
なぜか、再び一ノ瀬くんの……顔?
んん?
なぜ?
体操マットに両手をついた一ノ瀬くんを、
一ノ瀬くんの下からキョトンと見上げる。
じっと一ノ瀬くんを見つめると、
一ノ瀬くんが
深いため息をついた。



